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Bird

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BACKSTORIES by Tokuhiko Kise

いつも気になるもののひとつに、本職でない人が、必要だから作った道具というのがある。

自転車屋のおっちゃんがパンク修理をする時に腰掛ける低いスツール。どこかで見つけた板に、これまたどこかで見つけた角材が強引に打ち付けられていたりする。 それが何十年もの使用に耐えて、時には補強され使われ続けて、オイルなどが染み込み、風格といえる域にまで達している。

おっちゃんは自転車屋であって家具職人ではない。でも、必要だから自分で作った、と勝手に想像する。

市場で果物や野菜が並べられている台、そんな作り方、自分では思いつかない!って感動する。
基本的な家具の作り方なんて全く関係なく作られたそんな道具にすごく惹かれる。真似できない。

家のガレージでの作業用にサンドペーパーロールホルダーを作った。
テーマは、どこかの国の腹の出たオヤジが土曜の昼下がりにビールでも飲みながら、
そこら辺にあった材料で作ったようなもの。プロっぽくなっては失格。
同じように、そこらにあった板きれやフラットバーだけを使って、ホゾなんて無しで釘やビスだけで作る。
板の厚みなんて不揃い。きっちり作るよりずっと難しい。
出来上がったホルダーは狙い通りのものになった。ガレージにあるのがすごく似合う。

JOHNSON TABLEを作るのに、そんな思いが込められている。

両サイドに立っている鉄の脚。それだけではグラグラするので、そこらにあった程よいサイズの板で支えてみたらしっかりした。よかった。
家具職人なら絶対にしないであろうボルトを使っての両側からの挟み込み。

天板の下面の淵に付けている幅50mm程の材。上から押さえたら、たわんだので後で付け足した。みたいな。

このテーブル、自転車屋のおっちゃんやガレージの腹の出たオヤジが作ったのではなく、
商品としてしっかり作っているので、いい加減なものではありません。
あくまで、エッセンスの話です。ご安心を。

4本脚のテーブルによくある幕板 (脚と脚を繋ぐ板) がないので、
脚の長いあなたも、膝をぶつけることなく組めるはず。

黄瀬 徳彦