BACKSTORIES by Tokuhiko Kise
WHISKERS DESK
大人への憧れがある。
年齢で言ったらもう十分すぎるくらいに大人だけど、
そうではなくて、かっこいい大人。
いろんなことをひと通り経験してきているから滲み出る余裕感や身のこなし、
ドタバタせずに落ち着いて動じない。
バーでさらりと自分好みのお酒を注文できる。
でも、どこかに茶目っ気がある。
映画でよく見るそんな大人の部屋には、決まって部屋の内側に向けたデスクがある。
壁に向けてではなく、壁に沿ってでもない。
そしてそれは必ず両袖デスク。両側に引き出しがある。
誰かが部屋に入ってくると、デスク越しに会話をする。
前にある椅子を勧めたりする。
何かが上手くいった時など、すっと背後の棚からロックグラスを手に取りウィスキーを注いで
軽く乾杯する。昼とか夜とかは関係なく。
憧れに一歩近づけるために作った。
そんなシーンにありそうなデスク。
どちらから見られてもしっくりくる両袖デスク。
左右3杯づつある引き出しには、長年使ってきた万年筆やきちんと選んだものが、
あるべき居場所を確立されていて手を伸ばせばすっと使える。
そんな中に子供の頃の少し土が付いたミニカーやバブルガムが同居。
両サイドと背中に真鍮の板を組み込んだ。
金ピカではなく鈍く変色した真鍮と楢との組み合わせが大人。
さて、舞台は整った。
これで憧れの大人になれるはず?